「イーサリアムに将来性はない」
ネットで検索すれば、こういった意見はいくらでも出てきます。ガス代が高い、処理が遅い、Solanaに抜かれる――確かに、批判の材料だけを拾えばいくらでも「オワコン」に見えるのがイーサリアムという存在です。
でも、だからといって「将来性がない」と断言するのは、ちょっと早すぎる。
この記事では、「将来性がない」と言われる理由をひとつずつ検証した上で、ビットコインやSolana、リップルとの比較から、イーサリアムにしかない構造的な強みを整理していきます。
結論から言えば、「将来性がない」と断言するには、見落としている事実が多すぎます。
「イーサリアムに将来性がない」と言われる理由を検証する
まず最初に、「将来性がない」と言われている理由を正面から受け止めます。批判の多くにはそれなりの根拠がある。ただし、その根拠が「今も正しいかどうか」は別の話です。
ガス代が高すぎる → L2で大幅に改善済み
これは事実です。イーサリアムのメインネットでのガス代は、2021年のDeFiブーム時には1回の取引で50ドル以上かかることも珍しくありませんでした。NFTを1つ買うだけで数千円〜数万円の手数料が飛んでいく。正直、これでは一般ユーザーが使えるわけがない。
ただ、この問題はすでに大きく改善されています。
2024年3月の「Dencun」アップグレードで導入された「Blob」という仕組みにより、L2(レイヤー2)のガス代は最大90〜98%削減されました。さらに2025年5月の「Pectra」アップグレードではBlob容量が2倍になり、L2手数料はさらに約50%低下しています。
2025年12月に予定されている「Fusaka」アップグレードでは、PeerDASの実装によりL2データ容量が最大8倍に拡大する見込みです。
2026年2月現在、主要なL2では1回あたりの手数料が0.01ドル以下まで下がっています。
なふと「ガス代が高い」って批判は2021年の話。今のL2を使ったことがない人が言ってるケースがほとんどだと思います。
処理速度が遅い → メインネットは遅いがL2で補完
イーサリアムのメインネットの処理速度は、1秒あたり約15〜30トランザクション(TPS)です。これだけ見ると、確かに遅い。Solanaの理論値65,000+ TPSと比べたら、桁が3つ違います。
ただ、この比較はフェアではありません。
イーサリアムはメインネット単体で全処理をこなす設計ではなく、L2ネットワークと組み合わせることで処理をスケールさせる「モジュラー型」のアプローチを取っています。ArbitrumやOptimism、Base、zkSyncといったL2の合計処理能力を含めると、ネットワーク全体のスループットは大幅に向上しています。
メインネットだけの速度で評価するのは、東京駅の改札だけを見て「東京の交通は遅い」と言っているようなものです。
NFTブームが終わった → NFTは一部。本丸はDeFi・RWA
NFTバブルが弾けたのは紛れもない事実です。2021年に数千万円で取引されていたNFTコレクションの多くは、現在ほとんど価値を失っています。
でも、「NFTが終わった=イーサリアムが終わった」と考えるのは、完全に的外れです。
イーサリアムの利用価値はNFTだけではありません。むしろ、イーサリアムの本丸はDeFi(分散型金融)とRWA(実世界資産のトークン化)です。2026年2月時点で、全DeFiの預かり資産(TVL)のうち約55〜65%がイーサリアム上に存在しています。NFTの取引量が減少しても、DeFiの経済圏は着実に拡大を続けている。
なふとNFTブームに乗っかって「イーサリアムすごい!」って言ってた人が、今度はNFTが売れないから「オワコン」って言ってるだけなんですよね。本質を見てない。
アップグレードが複雑すぎて信頼できない → マージ成功の実績
イーサリアムのアップグレードが複雑なのは事実です。特に2022年9月の「The Merge(マージ)」は、ネットワークの根幹を動かしながらの大手術でした。マイニング方式(PoW)からステーキング方式(PoS)への移行は、仮想通貨業界史上最大級のアップグレードだったと言っても過言ではありません。
結果はどうだったか。ダウンタイムゼロで完了しています。
その後もDencun(2024年3月)、Pectra(2025年5月)と大型アップグレードが成功しており、Fusakaも2025年12月に予定されています。複雑であることは事実ですが、その複雑なアップグレードを実際に成功させてきた実績がある。
「複雑だから危ない」は理論上の不安であり、実績で見ればむしろ信頼に値します。
- ガス代 → L2で0.01ドル以下まで低下済み
- 処理速度 → L2を含めたモジュラー設計で対応
- NFT → 本丸はDeFi・RWA。NFTはイーサリアムの一部に過ぎない
- アップグレード → The Merge含め、大型アップグレードは全て成功
ビットコインとイーサリアムの「決定的な違い」
イーサリアムの将来性を語るとき、必ず出てくるのがビットコインとの比較です。ただ、この2つはそもそも「目的」が全く違います。同じ土俵で比べること自体に無理がある、というのが正直なところです。
BTCは「デジタルゴールド」、ETHは「デジタルオイル」
ビットコインは「価値の保存」を目的としたデジタル資産です。金(ゴールド)と同じように、持っているだけで資産としての価値がある。発行上限が2,100万枚と決まっていて、希少性が価値の源泉になっています。
一方、イーサリアムは「使われること」で価値が生まれる資産です。DeFiで貸し借りをする、NFTを発行する、スマートコントラクトを動かす――あらゆる操作に「燃料」としてETHが消費される。だからよく「デジタルオイル」と呼ばれます。
BTCは持ってるだけで価値がある。ETHは使われるほど価値が上がる
ビットコインの価値は「存在すること」にあります。誰かが使おうが使うまいが、希少性によって価値が担保される。だから「デジタルゴールド」なんです。
イーサリアムの価値は「プラットフォームとして使われること」にあります。DeFiのプロトコルがETH上で動き、RWAのトークン化がETH上で行われ、世界中の開発者がETH上にアプリを構築する。このエコシステム全体がETHの価値を支えているんです。
しかもPoS移行後のイーサリアムには、「バーン(焼却)」の仕組みがあります。ネットワークが使われるほどETHが焼却され、供給量が減少する。つまり、使われるほど希少性が増す設計になっています。
ビットコインは「持つもの」、イーサリアムは「使うもの」。この違いを理解しないと、比較そのものが成り立ちません。
なふと金とガソリンを比べて「金のほうが値上がりしたから、ガソリンはオワコン」って言ってる人がいたら、ちょっとおかしいですよね。でもBTCとETHの比較って、本質的にはそれと同じことをやってるんです。
ビットコインとイーサリアムの違いについてもっと詳しく知りたい方は、こちらの記事で網羅的に比較しています。

「BTCほど上がらない」は比較軸が間違っている
確かに、直近数年のパフォーマンスではビットコインがイーサリアムを大きく上回っています。ETH/BTC比率は2024年以降下落傾向にあり、「イーサリアムに投資する意味はあるのか?」と疑問に思う声が増えるのも無理はありません。
でも、これは「短期の価格パフォーマンス」だけで判断しているに過ぎない。
ビットコインには「デジタルゴールド」としてのシンプルなナラティブがあります。機関投資家にとっても分かりやすく、ETFの資金流入もビットコインに集中しやすい。一方で、イーサリアムの価値はエコシステムの成長に連動するため、評価の時間軸が長くなります。
Standard Charteredは2026年末のETH価格予測を約4,000ドルとしており、DeFi・RWA・ステーキングの成長がETH/BTC比率を押し上げる要因になると分析しています。
Solana(ソラナ)と比較して、イーサリアムは負けているのか
ここ数年で最も勢いのある競合チェーンといえば、間違いなくSolanaです。「Solanaに抜かれるからイーサリアムは終わり」――こう言う人も少なくありません。では、実際のデータで比較してみましょう。
処理速度とコストではSolanaが圧勝
処理速度だけを見れば、Solanaの圧勝です。これは否定しようがない。
| 比較項目 | イーサリアム(メインネット) | Solana |
|---|---|---|
| 処理速度(TPS) | 15〜30 | 理論値 65,000+ |
| 平均手数料 | 数ドル(L2なら0.01ドル以下) | 約0.00025ドル |
| ブロック確定時間 | 約12秒 | 約0.4秒 |
純粋なスペック比較では、Solanaが上回っています。高頻度取引やゲームのようにリアルタイム性が求められるユースケースでは、Solanaのほうが適しているのは間違いありません。
でもDeFi TVL・開発者数・RWAではETHが圧倒
速度とコストだけがブロックチェーンの価値ではありません。「どれだけのお金が動いているか」「どれだけの開発者が集まっているか」「どれだけの実経済と接続しているか」こそが、プラットフォームとしての競争力を決めます。
| 比較項目 | イーサリアム | Solana |
|---|---|---|
| DeFi TVL(預かり資産) | 約990億ドル(全体の55〜65%) | 約80〜100億ドル |
| アクティブ開発者数 | 約31,800人(世界最大) | 約2,500〜3,000人 |
| RWAトークン化シェア | 約65% | 数% |
| 現物ETF | 承認済み(2024年7月〜取引開始) | 未承認 |
エコシステムの規模では、イーサリアムとSolanaの間には10倍近い差があります。DeFiに預けられている資産量、開発者の数、RWAのシェア、いずれもイーサリアムが圧倒しています。
「速さ」と「安さ」だけでブロックチェーンの将来性は決まりません。「どれだけのお金と人が集まっているか」こそが、プラットフォームの本当の競争力です。
Solanaのネットワーク停止リスクという見落とせない弱点
Solanaの大きな弱点として、過去にネットワークが完全に停止した実績があることは押さえておくべきです。
2022年から2024年にかけて複数回のネットワーク停止が発生しており、直近では2024年2月に約5時間のダウンタイムが起きています。原因はJITキャッシュのバグによる無限ループで、この間すべてのトランザクションが処理できなくなりました。
イーサリアムのメインネットは、2015年のローンチ以降、ネットワーク全体が停止したことは一度もありません。
なふと銀行のATMが時々5時間止まるって言われたら、そこにお金預けたくないですよね。DeFiでも同じことが言えると思います。
リップル(XRP)とイーサリアムは、そもそも土俵が違う
「イーサリアムとリップル、どっちが将来性あるの?」という質問もよく見かけますが、この比較はそもそも成り立ちません。なぜなら、この2つは目的も構造も全く違うからです。
XRPは国際送金特化、ETHはスマートコントラクトの汎用プラットフォーム
リップル(XRP)は、国際送金を高速・低コストで実現するために設計された通貨です。銀行間送金のブリッジ通貨としての用途に特化しており、「SWIFTに代わる送金インフラ」として一定のポジションを築いています。
一方、イーサリアムは「何でも作れるプラットフォーム」です。DeFi、NFT、RWA、DAO、ゲーム――スマートコントラクトで実装できるものなら何でも載せられる。イーサリアムはアプリケーションの「土台」であり、特定の用途に限定されていません。
用途が違うので「どっちが将来性あるか」は的外れ
「リップルとイーサリアムはどっちがいい?」という質問は、「電話と電気はどっちが便利?」と聞いているようなものです。答えようがない。
XRPは送金システムとしての将来性、ETHはスマートコントラクトプラットフォームとしての将来性を、それぞれ別の軸で評価する必要があります。
競合として比較するなら、ETHの本当のライバルはSolanaやAvalancheのような汎用チェーンであり、XRPではありません。
それでもイーサリアムに将来性があると言える3つの根拠
ここまで批判を検証し、他の通貨との比較を行ってきました。ここからは、それでもイーサリアムに将来性があると考えられる、構造的な根拠を3つ挙げていきます。「なんとなく上がりそう」ではなく、データに基づいた話です。
DeFi経済圏の中心という揺るがない事実
2026年2月時点で、イーサリアムのDeFi TVL(預かり資産)は約990億ドルに達しています。これは全DeFi市場の約55〜65%に相当し、2位のTron(約15%)を大きく引き離しています。
なぜこれほどの差がつくのか。理由はシンプルで、大口の資金が「安全性」を最優先にするからです。機関投資家や大口ウォレットは、バグやネットワーク停止のリスクがあるチェーンに大金を預けたがらない。イーサリアムの長い稼働実績と、世界最大の開発者コミュニティによる継続的な改善こそが、この「信頼」の源泉です。
DeFiのTVLというのは、つまり「どれだけの人がそのチェーンを信頼してお金を預けているか」の指標です。このシェアをひっくり返すのは、一朝一夕ではできません。
イーサリアムは「将来、DeFiの中心になれるかもしれない」のではなく、すでに中心です。この既存の優位性こそが、最も強力な将来性の根拠になります。
ETF承認+ステーキング → 機関マネーの流入
2024年5月、米国SECがイーサリアムの現物ETFを正式に承認し、同年7月から取引が開始されました。ブラックロックやフィデリティなど、世界最大級の資産運用会社がイーサリアムETFを運用しています。
ETFの承認は、機関投資家にとってイーサリアムへの投資ハードルを大幅に下げるものです。これまで仮想通貨に直接投資できなかった年金基金やヘッジファンドが、ETFを通じてETHにアクセスできるようになりました。
さらに2026年2月には、ブラックロックがステーキング対応のイーサリアムETFの修正申請を提出しています。これが承認されれば、ETF保有者は年率2.5〜4%のステーキング報酬を得られるようになります。
「株式のように保有しながら配当が出る仮想通貨ETF」は前例がなく、機関投資家にとって非常に魅力的な商品です。
少額からイーサリアムを始めてみたい方は、こちらの記事も参考になります。
RWA(実世界資産)トークン化の主戦場
RWA(Real World Assets)とは、不動産、債券、株式、金といった現実世界の資産をブロックチェーン上でトークン化する仕組みのことです。
これが今、仮想通貨業界における最大の成長分野のひとつになっています。2025年第3四半期にはRWA市場全体が300億ドルを突破し、2026年2月時点でイーサリアムがそのうちの約65%のシェアを占めています。
なぜRWAがイーサリアムを選ぶのか。理由は明白で、ブラックロックやJPモルガンのような大手金融機関がイーサリアム上でRWAトークンを発行しているからです。「機関投資家が使うチェーン=信頼されているチェーン」であり、他の機関もそのチェーンに集まる。ネットワーク効果が働いています。
- DeFi TVLの55〜65%がイーサリアム上に存在
- 現物ETFが承認され、ステーキング対応ETFも申請中
- RWAトークン化の約65%がイーサリアム上で行われている
- アクティブ開発者数 約31,800人で世界最大
「将来性がない」どころか、イーサリアムは金融インフラとして着実に現実経済に組み込まれつつあります。
よくある質問
「ビットコインはもう遅いのでは?」と感じている方は、こちらの記事も参考になるかもしれません。

まとめ
「イーサリアムに将来性はない」という主張を検証してきましたが、批判の多くは「過去の事実」か「一面的な比較」に基づいていました。
ガス代は下がった。NFTが終わってもDeFiとRWAは伸びている。Solanaより遅くても、エコシステムの規模と安定性では圧倒している。ビットコインとはそもそも目的が違う。
- ガス代はL2の進化で0.01ドル以下まで低下済み
- DeFi TVLの55〜65%を占め、プラットフォームとしての地位は揺るがない
- ETF承認+ステーキングで、機関マネーの流入が加速している
- RWA市場の約65%がイーサリアム上に存在し、現実経済との接続が進行中
- BTCとは目的が違い、Solanaとはエコシステムの規模が10倍近く異なる
もちろん、リスクがゼロだとは言いません。仮想通貨全体が規制強化で逆風を受ける可能性もあるし、想定外の技術的な問題が起きないとも限らない。
なふとでも、「将来性がない」って言い切れるほど、弱いプロジェクトじゃないと思います。むしろデータを見れば見るほど、イーサリアムが金融インフラとして定着しつつあるのが分かる。
「将来性がない」と断言する前に、まずはデータを見てほしい。その上で判断しても、全然遅くありません。
積立投資のメリット・デメリットについてはこちらの記事で詳しく解説しています。



