仮想通貨がゼロになるなんてこと、本当にあるの?
全然あります。実際にゼロ同然まで落ちた仮想通貨は存在します。2022年5月、時価総額約4兆円だったTerra/LUNAはわずか5日でほぼゼロになりました。同じ年にはFTXという大手取引所が詐欺で崩壊し、顧客資産が消えています。
ただ、僕はこう考えています。仮想通貨がゼロになるには条件がある。そしてその条件を知ると、「全部の仮想通貨が同じリスクを抱えているわけではない」ということが見えてきます。
この記事では、仮想通貨がゼロになる条件を3つに絞り、ビットコインがそのどれにも当てはまらない理由を解説します。
仮想通貨が「ゼロになった」事例は実在する
「仮想通貨がゼロになるなんて大げさでしょ」と思うかもしれません。でも、これは実際に起きたことです。しかも1件や2件ではありません。
Terra/LUNAは5日で時価総額4兆円が消えた
2022年5月、仮想通貨市場で最大級の崩壊が起きました。Terra/LUNAというプロジェクトの時価総額が、5日間で約4兆円からほぼゼロに転落しています。
Terraはアルゴリズム型ステーブルコインと呼ばれる仕組みを採用していました。ドルと連動するはずのUST(TerraUSD)が、裏付け資産ではなくアルゴリズムで価格を維持していたのです。
USTの価格が1ドルから外れた瞬間、ペアのLUNAトークンが大量発行されて価格が暴落。LUNAの暴落がさらにUSTの信頼を壊し、USTの崩壊がまたLUNAを暴落させる。このデススパイラルによって、LUNAは99%以上の下落を記録しました。
なふとこれは「仮想通貨全体が危険」という話ではなく、「設計に欠陥があったコインが壊れた」という話です。ここを混同すると判断を間違えます。
FTXは仮想通貨の暴落ではなく「詐欺」で潰れた
2022年11月には、世界第2位の取引所だったFTXが経営破綻しました。CEOのサム・バンクマン=フリードが顧客資産を無断で流用していたことが発覚し、約1兆円規模の顧客資産が失われています。
ここで押さえておきたいのは、FTXの崩壊はビットコインやイーサリアムの暴落が原因ではないということです。問題は取引所の運営者が詐欺を働いたことにあります。
「取引所が潰れた」と「仮想通貨の価値がゼロになった」は別の出来事です。FTX破綻後もビットコインは存在し続け、2024年には史上最高値を更新しました。
暴落のパターンについて詳しく知りたい方はこちらの記事にまとめています。

仮想通貨がゼロになった事例は確かにある。ただし、その原因は「設計の欠陥」か「人間の詐欺」であり、仮想通貨そのものの仕組みが壊れたわけではありません。
仮想通貨がゼロになる条件を3つに絞る
Terra/LUNAやFTXの事例を見ると、仮想通貨がゼロになるケースには共通のパターンがあることに気づきます。僕なりに整理すると、条件は3つに絞られます。
コインの設計そのものが壊れている
1つ目は、コインの設計自体に致命的な欠陥があるケースです。Terra/LUNAが典型例で、裏付け資産を持たずにアルゴリズムだけで価格を維持する仕組みは、一度崩れると歯止めが効きません。
Terra以外にも、Iron FinanceのTITANトークン(2021年)が同様の設計破綻でほぼゼロに暴落しています。アルゴリズム型ステーブルコインという設計思想自体が、構造的にゼロ化リスクを内包していたわけです。
逆に言えば、裏付け資産や独自のコンセンサスで動いているコインは、このパターンには該当しません。
運営チームが資金ごと消える「ラグプル」
2つ目は、プロジェクト運営者が集めた資金を持ち逃げするケースです。これは「ラグプル(Rug Pull)」と呼ばれています。
ラグプルの対象になるのは、ほぼ例外なく新興の小規模プロジェクトです。SNSで話題になった草コインやミームコインに多く、開発チームの素性がわからないまま資金が集まり、ある日突然プロジェクトごと消滅します。
「運営チーム」が存在するコインには、この逃亡リスクが常についてまわります。
規制によって取引そのものが違法になる
3つ目は、国家が仮想通貨を全面禁止するケースです。2021年に中国が仮想通貨のマイニングと取引を全面的に禁止したのは、記憶に新しい出来事です。
ただし、中国の全面禁止後もビットコインの価格はゼロになっていません。一時的に下落はしましたが、マイナーが他国に移転し、取引は海外の取引所で継続されました。1つの国が禁止しても、分散型のネットワークは止まらないのです。
とはいえ、主要国が一斉に禁止する極端なシナリオでは、事実上取引ができなくなる可能性はあります。現時点でその兆候は見えていませんが、理論上のリスクとしては残っています。
仮想通貨がゼロになる条件は「設計の欠陥」「運営の持ち逃げ」「規制による排除」の3つです。逆に言えば、この3つに該当しないコインがゼロになる現実的なシナリオは見当たりません。
ビットコインがこの3つに当てはまらない理由
3つの条件がわかったところで、ビットコインをこの条件に当てはめてみます。結論から言うと、ビットコインは3つのどれにも該当しません。
中央管理者がいないから「持ち逃げ」ができない
ビットコインにはCEOも運営会社も存在しません。世界中に分散したノード(コンピュータ)がネットワークを維持しており、誰か1人が「ビットコインを持ち逃げする」ことは物理的にできない仕組みです。
Terra/LUNAの崩壊には「Terraform Labs」という運営企業がいました。FTXには「サム・バンクマン=フリード」というCEOがいました。ビットコインには、資金を流用できる立場の人間がそもそもいないのです。
なぜビットコインは16年間ハッキングされていないのか
「仮想通貨がハッキングされた」というニュースはよく見ますが、あれは取引所やDeFiプロトコルが攻撃されたケースです。ビットコインのネットワークそのものが破られたことは、16年間で一度もありません。
ビットコインのコードはオープンソースで、世界中の開発者が常に監視しています。理論上はネットワークの51%以上の計算能力を掌握すれば攻撃できますが、現在のビットコインのハッシュレート(計算能力の総量)を考えると、そのコストは天文学的な金額になります。
なふと「取引所がハッキングされた」と「ビットコインがハッキングされた」はまったく別の話です。この違いを知っているだけで、リスクの見え方が変わります。
各国は「禁止」ではなく「ルール整備」の方向に動いている
3つ目の条件「規制による排除」についても、現状を見る限りビットコインが該当する兆候はありません。
2024年1月、米国はビットコインの現物ETFを承認しました。これは「ビットコインを正式な金融商品として認めた」ということです。禁止どころか、既存の金融システムに組み込む方向に進んでいます。
日本でもビットコインは資金決済法のもとで合法的に取引されており、金融庁が登録取引所を監督しています。EUもMiCA規制を通じて仮想通貨の法的枠組みを整備しました。
ビットコインは「設計の欠陥」「運営の持ち逃げ」「規制による排除」のどれにも当てはまりません。これが、ビットコインと他の仮想通貨を同列に語れない理由です。
ビットコインがゼロになるには、16年間破られなかったコードが突破され、世界中の国が一斉に禁止し、分散ネットワークが停止するという複数の条件が同時に成立する必要があります。
それでも仮想通貨が「ゼロに近づく」パターンは残っている
ビットコインがゼロにならないとしても、「自分の資産がゼロになる」リスクは別の話です。取引の方法や投資対象によっては、実質的にゼロ、あるいはそれ以下に陥るパターンがあります。
レバレッジをかけると「ゼロ以下」になる
現物取引であれば、最悪のケースでも失うのは投資した金額だけです。10万円で買ったビットコインが暴落しても、損失は最大10万円。ゼロが下限です。
しかし、レバレッジ取引(証拠金取引)では話が変わります。日本の国内取引所では最大2倍のレバレッジが認められていますが、それでも証拠金を超える損失が発生して追証(追加証拠金)を求められるケースがあります。
なふと「仮想通貨がゼロになる」と怖がっている方の多くは現物取引を想定していると思います。現物なら投資額以上の損失は出ないので、その点は安心してください。
レバレッジ取引で借金を抱えてしまった場合の法的な選択肢については、こちらの記事で詳しく解説しています。

「安いから上がるかも」で買う草コインの生存率
時価総額ランキング上位のビットコインやイーサリアムと違い、数百位以下の小規模コイン(いわゆる草コイン)は、プロジェクトごと消滅するリスクが高いです。
CoinGeckoのデータによると、過去に上場された仮想通貨のうち約半数以上がすでに取引されていないか、ほぼ無価値の状態です。「1枚0.001円だから、1万円分買っておけば100倍になるかも」という発想は、宝くじと同じ確率の賭けになります。
仮想通貨のリスクを全体像で把握したい場合は、こちらの記事が参考になります。

「ビットコインがゼロにならない」と「自分のお金がゼロにならない」は別問題です。レバレッジと草コインは、自分の判断で避けられるリスクです。
2022年から仮想通貨の安全性はどう改善された?
Terra/LUNA崩壊とFTX破綻は、仮想通貨業界にとって大きな転換点になりました。「同じことが繰り返されるのでは」と不安に思うのは自然ですが、業界と法制度は確実に変わっています。
「Proof of Reserves」で取引所の中身が見えるようになった
FTX破綻の最大の問題は、取引所が顧客資産をどう管理しているか外部から見えなかったことです。この反省から、主要取引所は「Proof of Reserves(準備金証明)」を公開するようになりました。
BinanceやKraken、国内ではbitFlyerなどが、定期的に保有資産の証明を第三者に監査させて公開しています。完全な透明性とは言えませんが、FTXのように顧客資産を裏でこっそり流用するのは格段に難しくなりました。
日本の法改正で顧客資産の分別管理が義務化された
大規模な被害でしたが、日本の金融庁は資金決済法に基づいて迅速に対応し、顧客への弁済が進められました。これは、日本の法制度が取引所に顧客資産の分別管理を義務付けていたからです。
FTXのように「気づいたら資産がなくなっていた」という事態は、日本の登録取引所では起きにくい仕組みが整っています。
なふと国内の登録取引所を使うだけで、取引所リスクはかなり抑えられます。海外取引所を使う場合は、この保護が及ばないことを覚えておいてください。
取引所が破綻した場合の資産保護について詳しくはこちらの記事で解説しています。

2022年の崩壊を経て、業界の透明性と法的保護は確実に強化されています。「昔と同じことがまた起きる」と考えるのは、現状を正しく反映していません。
よくある質問
まとめ
仮想通貨がゼロになるリスクは確かに存在します。ただし、それは「すべての仮想通貨が等しくゼロになる」という意味ではありません。
- 仮想通貨がゼロになった事例は実在する(Terra/LUNA、FTX)
- ゼロになる条件は「設計の欠陥」「運営の持ち逃げ」「規制による排除」の3つ
- ビットコインはこの3条件のどれにも当てはまらない
- ただしレバレッジ取引や草コイン投資には、別のゼロ化リスクがある
- 2022年以降、業界の透明性と法的保護は強化されている
- 「現物取引」「国内取引所」「余剰資金」の3原則で、ゼロ以上の損失は防げる
「仮想通貨がゼロになるかも」と不安なら、まず3つの条件を知ること。そしてゼロ化リスクの低い投資方法を選ぶこと。それだけで、漠然とした恐怖はかなり減ります。
リスクを理解した上で仮想通貨を始めたい方は、国内の登録取引所で少額からスタートするのが最も安全です。

なふと「ゼロになるかもしれない」と調べている時点で、リスク意識はしっかりあると思います。あとは条件を知った上で、自分に合った金額から始めてみてください。

