仮想通貨を持っている人なら、一度は思ったことがあるはずです。
「この仮想通貨、そのまま買い物に使えたら便利なのに」と。
実はそれ、もうできます。仮想通貨デビットカードを使えば、ビットコインやイーサリアムをそのままコンビニやネットショップの決済に使える時代が来ています。
ただ、「便利そうだから作ろう」で飛びつくと危険です。カードによって手数料の仕組みがまったく違うし、実は決済のたびに税金が発生するという落とし穴もある。表面上は「手数料0%」と書いてあっても、為替レートのスプレッドで実質コストが発生していたりします。
この記事では、2026年時点で日本から実際に使える仮想通貨デビットカード4枚を、手数料・還元率・税金の3つの軸で徹底比較しました。
そもそも仮想通貨デビットカードとは
仮想通貨デビットカードは、ウォレットに入っている仮想通貨を決済のタイミングで自動的に法定通貨に変換して支払う仕組みのカードです。VisaやMastercardのネットワークを使っているので、普通のクレジットカードが使える場所ならどこでも決済できます。
ユーザー側の操作としては、アプリにカードを登録して、普通にタッチ決済やオンライン決済をするだけ。仮想通貨を日本円に戻して銀行に出金して……という手間は一切かかりません。
普通のクレカやデビットカードとの違い
一般的なデビットカードは銀行口座の残高から引き落とされますが、仮想通貨デビットカードは仮想通貨ウォレットの残高から引き落とされます。銀行口座を紐づける必要はありません。
もう1つ大きな違いが手数料の構造です。通常のカードは加盟店手数料だけで利用者側の負担はほぼゼロですが、仮想通貨デビットカードの場合は仮想通貨→法定通貨の変換手数料やFX手数料が利用者側にかかります。ここが見落としやすいポイントです。
2026年の仮想通貨デビットカード市場
世界的に見ると、仮想通貨デビットカードの選択肢はここ数年で一気に増えました。日本からも利用できるカードが複数登場しています。
一方で、2025年末には海外大手取引所Bybitが日本市場からの完全撤退を発表しました。2026年7月22日をもってBybitカードを含むすべてのサービスが停止されます。金融庁に未登録のまま運営していたことが原因とされており、「海外サービスはいつ使えなくなるかわからない」というリスクを改めて突きつけられた形です。
逆に、RedotPayは2025年10月に一時停止していた日本居住者へのカード発行を再開し、IPOも検討中と報じられるなど事業を拡大しています。
なふとBybitは結構使ってた人も多かったと思うので、撤退のニュースにはびっくりしました。海外カードを使うなら、大金を預けっぱなしにしないのが鉄則ですね。
おすすめ仮想通貨デビットカード4選
ここからは、2026年2月時点で日本居住者が実際に発行・利用できるカードに絞って紹介します。日本撤退済みのBybit、日本非対応のCrypto.comなどは除外しています。
| カード名 | 年会費 | 決済手数料 | 最大還元率 | 対応通貨数 | Apple Pay |
|---|---|---|---|---|---|
| RedotPay | 無料 | FX 1.2% | — | 9種類 | ◯ |
| Triaカード | $20〜$225 | 約1%(日本円決済時) | 6% | 1,000種類以上 | ◯ |
| KASTカード | $20(条件で無料) | FX 2.0% | ポイント還元 | ステーブルコイン中心 | ◯ |
| Bitget Card | 無料 | 0.9% | 最大8% | USDT(BTC等は今後) | ◯ |
それぞれのカードを詳しく見ていきます。
RedotPay — 手数料の安さで選ぶならこれ
RedotPayは、2023年に日本上陸したVisa対応の仮想通貨デビットカードです。最大の特徴は年会費・チャージ手数料がすべて無料という点。発行手数料はバーチャルカードが10ドル、物理カードが100ドルかかりますが、ランニングコストは非常に低い設計です。
- バーチャルカード発行 10ドル / 物理カード発行 100ドル
- 年会費・チャージ手数料 無料
- 日本円決済時のFX手数料 1.2%
- 対応通貨 BTC, ETH, USDT, USDC, SOL, XRP, BNB, TRX, TON
- Apple Pay / Google Pay対応
対応通貨は9種類と他社に比べると少なめですが、主要通貨はカバーしています。2025年にはSOLやXRPなど5通貨が追加され、今後もRippleのRLUSDへの対応が予定されています。
ウォレット内に仮想通貨を入れておくだけで、決済時に自動で引き落とされる仕組みなので、都度チャージする必要がないのも楽です。手数料をとにかく抑えたい人、まず1枚試してみたい人にはRedotPayが最も無難な選択肢です。
Triaカード — 高還元を狙うならこれ
Triaカードは、最大6%のキャッシュバック還元が売りのVisa対応カードです。1,000種類以上の仮想通貨に対応しているので、マイナーなアルトコインを保有している人でも使いやすい設計になっています。
カードは3ティア制で、年会費と還元率がそれぞれ異なります。
| カードタイプ | 年会費 | キャッシュバック | ATM出金 |
|---|---|---|---|
| バーチャル | $20 | 1.5% | ✕ |
| シグネチャー | $90 | 4.5% | ◯ |
| プレミアム | $225 | 6.0% | ◯ |
注意点として、日本円で決済する場合は海外発行カード扱いになるため、Visa側の為替手数料が約1%かかります。6%還元に目がいきがちですが、実質の手取り還元率は5%前後になる計算です。
キャッシュバックの受け取り方も2026年2月に仕様変更がありました。以前はTriaの独自トークンで付与されていましたが、現在はUSDTまたはUSDC(ステーブルコイン)で還元される仕組みに変わっています。価格変動リスクがなくなった分、安心感は増しました。
KASTカード — ステーブルコインで使いたいならこれ
KASTカードは、ステーブルコインに特化したVisa対応デビットカードです。USDT、USDC、USDeなどの主要ステーブルコインをチャージして、そのまま決済に使えます。
最大の特徴は、ステーブルコインから法定通貨への変換手数料が0%という点。ステーブルコインを中心に運用している人にとっては、変換コストなしで日常決済に使えるのは非常にありがたい仕組みです。
入金はSolanaチェーン経由が手数料無料で最安です。Ethereumだと8ドル、Tronだと5ドルの手数料がかかるので、チェーンの選択は地味に重要です。
ただし、日本円での決済時にはFX手数料が約2.0%かかるとされています。RedotPayの1.2%と比較するとやや高めです。「ステーブルコインをそのまま使いたい」という明確なニーズがある人に最適なカードです。
Bitget Card — 年会費ゼロで始められる
Bitget Cardは、海外大手取引所Bitgetが発行するVisa対応カードです。年会費・発行手数料ともに無料で始められるのが最大のメリット。初期コストゼロで仮想通貨決済を試せます。
決済ごとに0.9%の取引手数料がかかりますが、Bitgetの独自トークンBGBを保有していれば手数料を最大80%割引できるため、実質コストはさらに下がります。
現時点で対応している決済通貨は主にUSDTですが、今後BTC、ETH、USDC、BGBにも対応予定です。12ヶ月間利用がないと月額1ドルの非アクティブ手数料が発生する点は注意してください。
なふと年会費も発行手数料もゼロっていうのは正直ありがたい。「仮想通貨デビットカードってどんなもの?」くらいの温度感で試すならこれが一番入りやすいと思います。
月いくらかかる?手数料シミュレーション
カードのスペックだけを並べても、実際にいくらかかるのかはイメージしにくいものです。ここでは、月3万円と月10万円を決済した場合の実質コストをシミュレーションしてみました。
- 決済通貨は日本円(外貨手数料が発生する前提)
- 為替レートのスプレッドは考慮しない(実際はさらにコストが増える可能性あり)
- キャッシュバック還元は最もベーシックなプランで計算
- Bitget Cardの手数料割引(BGB保有)は適用しない
月3万円決済した場合
| カード名 | 月額手数料 | 年額手数料 | 年会費込み年間コスト | 月額キャッシュバック |
|---|---|---|---|---|
| RedotPay | 360円 | 4,320円 | 4,320円 | — |
| Tria(バーチャル) | 300円 | 3,600円 | 約6,600円 | 450円 |
| KAST | 600円 | 7,200円 | 約10,200円 | ポイント |
| Bitget Card | 270円 | 3,240円 | 3,240円 | — |
月3万円程度の利用なら、年間の手数料差は数千円程度に収まります。Triaカードはキャッシュバック(月450円)をもらえますが、年会費(約3,000円)を差し引くとプラスマイナスでほぼトントン。
少額利用の場合は、年会費のないRedotPayかBitget Cardが結果的にコスパが良くなります。
月10万円決済した場合
| カード名 | 月額手数料 | 年間手数料 | 年会費込み年間コスト | 年間キャッシュバック | 差引コスト |
|---|---|---|---|---|---|
| RedotPay | 1,200円 | 14,400円 | 14,400円 | — | 14,400円 |
| Tria(バーチャル) | 1,000円 | 12,000円 | 約15,000円 | 18,000円 | −3,000円 |
| Tria(プレミアム) | 1,000円 | 12,000円 | 約45,750円 | 72,000円 | −26,250円 |
| KAST | 2,000円 | 24,000円 | 約27,000円 | ポイント | 27,000円 |
| Bitget Card | 900円 | 10,800円 | 10,800円 | — | 10,800円 |
月10万円クラスになると状況が一変します。Triaカードのバーチャルプランでも年間キャッシュバックが手数料+年会費を上回り、差引で約3,000円のプラスになります。プレミアムプラン(年会費$225≒約33,750円)にすれば、6%還元で年間7万2,000円のキャッシュバック。手数料と年会費を差し引いても約2万6,000円以上のプラスです。
月10万円以上コンスタントに使うなら、Triaカードの年会費は十分に元が取れます。逆に月3万円以下なら、年会費無料のカードが圧倒的に有利です。
見落としがちな隠れコスト
上のシミュレーションには含めていない「隠れコスト」がいくつかあります。これを知らずに使い始めると、思ったよりも費用がかさむ原因になります。
- ATM出金手数料(RedotPay 2%、KAST 出金額の2%+3ドル、Tria 出金額の3%+2ドル)
- 少額決済手数料(KASTは25ドル未満の決済に0.10ドル加算)
- 為替レートのスプレッド(公示レートと実際の換算レートの差。表示されない実質コスト)
- 非アクティブ手数料(Bitget Cardは12ヶ月未使用で月1ドル)
- カード解約手数料(RedotPayは5ドル)
なふと特にスプレッドはやっかいです。「手数料0%」って書いてあっても、実際の換算レートが市場レートよりも不利に設定されていたら、それは実質的な手数料です。ここは各社ともあまり明示してくれないんですよね。
「使うたびに税金がかかる」は本当か
仮想通貨デビットカードの最大の落とし穴は、手数料ではなく税金かもしれません。ここは正直、知らないまま使い始めると後から痛い目に遭うポイントです。
税金の計算タイミングで紹介している記事はこちらです。

デビットカード決済時の課税の仕組み
たとえば、1BTC=300万円のときに買ったビットコインを、1BTC=500万円のときにデビットカードで5万円分の決済に使ったとします。
この場合、5万円分のBTC(0.01BTC)を売却したことになり、取得単価は3万円、売却額は5万円。差額の2万円が利益として課税対象になります。
仮想通貨の利益は「雑所得」に分類されます。他の所得と合算されて累進課税が適用されるため、所得が高い人ほど税率も高くなり、住民税と合わせて最大55%の税金がかかる場合もあります。
1回5万円の決済でも、利益が出ていればその都度課税対象です。「売却していないから税金はかからない」という認識は完全な間違いです。
確定申告が必要になるライン
では、どのくらいの利益が出たら確定申告が必要になるのか。これはその人の立場によって異なります。
- 会社員の場合、仮想通貨を含む雑所得が年間20万円を超えたら確定申告が必要
- 専業主婦・学生などは、合計所得が48万円(基礎控除額)を超えたら確定申告が必要
- 所得税の確定申告が不要な場合でも、住民税の申告は必要になることがある
- 医療費控除などで確定申告をする場合は、20万円以下の雑所得も申告書に記載が必要
厄介なのは、仮想通貨の損失は他の所得と損益通算できないという点です。株式投資の損失は翌年に繰り越せますが、仮想通貨の損失にはその制度がありません。利益が出たらしっかり課税されるのに、損失は救済されない。この非対称性が、仮想通貨の税制が「不公平」と言われる最大の理由です。
ステーブルコインなら税金を抑えられる?
ここで注目したいのが、ステーブルコイン(USDT、USDCなど)を使った決済です。
ステーブルコインは1ドルにペッグされた仮想通貨なので、価格変動がほぼありません。つまり、取得時と決済時で価格差が生まれにくく、売却益が発生しにくいということです。
もちろん完全にゼロになるわけではありません。ペッグの微小な変動や、円ドルの為替差益が発生する可能性はあります。ただ、BTCやETHで決済した場合と比べれば、税金の計算と申告の手間は格段に楽になります。
なふとステーブルコインで決済すれば、仮想通貨デビットカードの最大の弱点である税金問題をだいぶ軽減できます。正直これが一番現実的な使い方だと思ってます。
仮想通貨デビットカードを「日常使い」するなら、ステーブルコインで運用するのが税金面ではもっとも合理的です。
カード選びで失敗しないためのチェックポイント
スペック表を見て「これが一番良さそう」と判断するのは早計です。自分の使い方に合っていないカードを選ぶと、手数料で損をしたり、そもそも保有通貨が使えなかったりします。
仮想通貨を安全に管理する方法についてはこちらもあわせてどうぞ。

対応通貨と入金手段
まず最優先で確認すべきは、自分が保有している仮想通貨がそのカードで使えるかどうかです。
RedotPayは9種類、KASTはステーブルコイン中心、Bitget Cardは現状ほぼUSDTのみ。「手持ちのETHを使いたい」と思ってBitget Cardを作っても、今のところETHでは決済できません。
入金手段も重要です。KASTカードの場合、Solanaチェーン経由なら手数料無料ですが、Ethereumだと8ドルかかります。入金のたびにガス代が発生するチェーンを選ぶと、それだけでコストが積み上がります。
Apple Pay対応は地味に重要
今回紹介した4カードはすべてApple Pay / Google Payに対応しています。これは日本で使う上で非常に大きなメリットです。
物理カードの到着を待たなくても、バーチャルカードを発行した瞬間からApple Payに登録して使い始められます。日本の実店舗ではタッチ決済やQRコード決済が主流なので、物理カードを持ち歩く必要がそもそもありません。
なふと物理カードを100ドル出して作る必要があるのか?って聞かれたら、正直バーチャルカード+Apple Payで十分だと思います。ATMで現金を引き出したい人以外は。
金融庁未登録のリスクをどう考えるか
ここが最も重要なポイントかもしれません。今回紹介した4つのカードはすべて日本の金融庁に未登録の海外サービスです。
Bybitが2026年に日本撤退を余儀なくされたように、金融庁の方針次第でいつサービスが停止されるか分かりません。カード残高として入れていた仮想通貨が引き出せなくなるリスクもゼロではない。
海外カードのリスクについて心配な方は、詐欺や不正サービスの見分け方も確認しておくと安心です。
カードに入金する金額は「失っても困らない範囲」に抑え、大きな額を預けっぱなしにしないことが鉄則です。
仮想通貨デビットカードは便利ですが、利用するのは必要最小限の金額に留めるのが安全な使い方です。
よくある質問
まとめ
仮想通貨デビットカードは、保有している仮想通貨をそのまま日常の買い物に使える便利なツールです。ただし、「お得かどうか」は手数料の表面だけを見ても判断できません。
この記事で計算してきた通り、年会費、FX手数料、スプレッド、そして税金まで含めて初めて「本当のコスト」が見えてきます。
- 手数料をとにかく抑えたい → RedotPay(年会費無料、FX 1.2%)
- 月10万円以上使って高還元を狙いたい → Triaカード(最大6%キャッシュバック)
- ステーブルコインを中心に使いたい → KASTカード(変換手数料0%)
- 初期費用ゼロでまず試したい → Bitget Card(年会費・発行手数料無料)
どのカードを選ぶにしても、決済のたびに課税されるという税金の仕組みは共通です。ステーブルコインを活用して課税リスクを抑えつつ、カードに入れる金額は必要最小限に留めるのが賢い使い方です。
仮想通貨の購入や送金には、手数料が明確で初心者にも使いやすい国内取引所を利用しましょう。

お得かどうかは、隠れコストと税金まで計算して初めてわかるものです。

