「ブロックチェーンはオワコン」と言い切れる人は、たぶん仮想通貨しか見ていない

「ブロックチェーンはもうオワコンだ」。

NFTバブルが弾け、FTXが破綻し、仮想通貨が暴落した。これだけ立て続けに起きれば、そう思うのは自然なことです。

ただ、ここで一つ考えてみてほしいことがあります。

2000年にドットコムバブルが弾けたとき、「インターネットはオワコン」と言った人がたくさんいました。Amazon株は90%以上下落し、無数のIT企業が消えました。でもインターネットという技術そのものは、バブル崩壊後にむしろ本格的に普及しています。

ブロックチェーンでも、同じことが起きているとしたら。

この記事では「ブロックチェーンはオワコンなのか?」という疑問に対して、投機と技術を分けたうえで、データと事例で正面から答えます。

目次

「ブロックチェーン=オワコン」と感じる3つの理由は、全部正しい

まず最初に言っておきたいのは、「オワコンだと思う気持ち」を否定するつもりはまったくないということです。

ブロックチェーンに対する失望感には、ちゃんと根拠があります。そこを認めないと、ただのポジショントークになってしまいます。

NFTバブルの崩壊は事実。売れ残ったサルの画像が山ほどある

2021年〜2022年にかけて、NFTは信じられないような価格で取引されていました。

あの有名なBored Ape Yacht Club(退屈した猿のイラスト)のフロアプライスは、ピーク時に約150ETH(当時の価格で約5,000万円以上)まで上昇。それが2026年現在、約7ETHまで下落しています。

なふと

サルの画像に5,000万円。冷静に考えると、やっぱりどうかしてたと思います。

日本でも多くのNFTプロジェクトが立ち上がっては消え、「NFT=ブロックチェーンの代名詞」のような扱いをメディアがしたせいで、NFTが死んだ=ブロックチェーンも死んだ、という印象が広がりました。

でも、これは「Amazonが暴落した=インターネットは終わった」と言っているのと同じ構造です。NFTはブロックチェーンの応用の1つにすぎません。

NFTバブルの実態についてはこちらの記事で詳しく検証しています。

FTX破綻で「業界ごと信用できない」と思われた

2022年11月、世界第2位の暗号資産取引所FTXが経営破綻しました。顧客資産約80億ドル(当時約1兆円以上)が不正流用されていたことが判明し、創業者のサム・バンクマン=フリードは詐欺罪で有罪判決を受けています。

この事件がブロックチェーン業界に与えた打撃は、計り知れません。「やっぱり仮想通貨なんて詐欺だ」「ブロックチェーンなんて信用できない」という声が一気に広がりました。

ただし、ここには大きな皮肉があります。

FTXが破綻した原因は、顧客の資産を裏で勝手に流用していたこと。これは「中央集権的な組織による不正」であって、ブロックチェーンの思想である「分散管理・透明性」とは正反対の出来事です。

つまり、FTX破綻はブロックチェーン技術の失敗ではなく、ブロックチェーンの理念を無視した人間の失敗です。

「結局、一般人の生活に何も変わってないじゃん」という実感

これも正しいです。

2026年時点で、ブロックチェーンが一般人の日常生活を目に見えて変えたかと言えば、正直そうは思えません。スーパーの支払いがブロックチェーンになったわけでもないし、役所の手続きが革新的に変わったわけでもない。

なふと

「で、結局ブロックチェーンって何の役に立ったの?」と聞かれると、普通の人は何も思い浮かばないと思います。それは事実です。

ただ、ここで思い出してほしいのが1995年のインターネットです。当時、Amazonは本のオンライン通販で赤字を垂れ流していました。Googleはまだ存在すらしていません。一般の人が「インターネットで生活が変わった」と実感し始めたのは、そこから10年以上あとの話です。

「見えない」と「存在しない」は、まったく別の話です。

仮想通貨とブロックチェーンは、そもそも別の話

ここが、この記事で一番伝えたいポイントです。

「ブロックチェーン=仮想通貨」だと思っている人が、おそらく大半ではないでしょうか。ビットコインが下がればブロックチェーンも終わり。NFTが崩壊すればブロックチェーンも崩壊。そう考えるのは、ごく自然なことです。

でも、これは「インターネット=Eメール」と言っているようなものです。

ブロックチェーンは道路、仮想通貨はその上を走る車の1台

ブロックチェーンは「データを改ざんできない形で記録・共有する技術」です。仮想通貨はその技術の上に乗っかった「お金の仕組み」にすぎません。

ブロックチェーンと仮想通貨の関係をひとことで言うと?

ブロックチェーンはインフラ(道路)で、仮想通貨はその上を走る車の1台。道路の上にはトラックもバスもタクシーも走れます。

インターネットが「Eメール専用」ではないように、ブロックチェーンも「お金専用」の技術ではありません。物流の追跡、医療データの管理、不動産の登記、投票システム——仮想通貨とは無関係の領域でも使われ始めています。

仮想通貨が暴落しても、道路は壊れません。

では、仮想通貨以外にブロックチェーンは何に使われているのか

「道路」の上を走っている車は、仮想通貨だけではありません。すでに実用化されている分野を見てみましょう。

分野 使われ方 代表的な事例
金融 現実資産(不動産・債券)のトークン化 RWAトークン市場の拡大
物流 サプライチェーンの追跡・管理 日本郵船のMarCoPay
医療 治験データの改ざん防止 サスメド(薬事承認取得済み)
製薬 偽造医薬品の防止 日本通運+アクセンチュア
行政 投票・登記システム 各国で実証実験進行中

これらの事例に共通しているのは、一般のユーザーからは「見えない」ということです。ブロックチェーンは裏側のインフラとして静かに入り込んでいて、表面からは気づきにくい。

矢野経済研究所の調査では、国内のブロックチェーン活用サービス市場規模は2025年度に7,247億円に達すると予測されています。

グローバルで見ると、BCGとADDXの共同レポートでは、RWA(現実資産のトークン化)市場だけで2030年に最大16兆ドルに達するとの予測もあります。マッキンゼーの予測は2〜4兆ドルと保守的ですが、それでも巨大な市場です。

なふと

「オワコン」の技術に、世界のトップ企業が数兆円規模の予測を立てるでしょうか。僕はそうは思いません。

ここまでを踏まえて、「仮想通貨」と「ブロックチェーン技術」の違いを整理します。

仮想通貨(応用の1つ)
ブロックチェーン(技術基盤)
  • 投機・投資の対象になりやすい
  • 価格の暴落・バブル崩壊がある
  • FTXのような取引所リスクがある
  • 一般人に「怪しい」と感じられやすい
  • データの改ざん防止・透明性が本質
  • 金融以外(物流・医療・行政)にも応用
  • 大企業・政府がインフラとして導入中
  • 表からは見えにくいが着実に拡大

「でもオワコンでしょ?」に対する5つの反論

ここまで読んで「いや、それでもやっぱり……」と思う人もいるはずです。

その疑念はもっともなので、よくある反論を5つ取り上げて、正面から答えます。都合の悪い批判も逃げずに扱います。

大企業が参入してるのはPoC止まりでしょ?

PoCとは「Proof of Concept(概念実証)」のこと。要するに「実験だけして、実用化はしていない」という意味です。

たしかに2020年前後は、多くの企業がブロックチェーンのPoCだけやって終わる、というケースが目立ちました。しかし2023年以降、状況は明確に変わっています。

  • 日本郵船 — MarCoPay:船員への給与支払いにブロックチェーンを導入。PoCではなく実運用されている
  • サスメド:治験データの管理にブロックチェーンを活用し、薬事承認を取得済み。医療分野での実用化事例
  • 日本通運+アクセンチュア:医薬品の偽造防止にブロックチェーンを活用。サプライチェーン全体で追跡可能に

これらはいずれも「実験」ではなく「実運用」です。派手なニュースにはなりにくいですが、確実に実用フェーズに移行しています。

「PoC止まり」だった時代と、実際にお金や医薬品が動いている今とでは、フェーズがまったく違います。

処理が遅くて使い物にならないのでは?

これは2020年頃までは正しい指摘でした。

イーサリアムのメインネットは、処理能力が秒間約15件。Visaが秒間数万件を処理していることを考えると、実用に耐えないレベルだったのは事実です。

しかし、ここ数年でレイヤー2(L2)と呼ばれる技術が急速に発展しました。ArbitrumやOptimismといったL2プロジェクトは、イーサリアムのセキュリティを維持しながら処理速度を大幅に向上させています。L2全体のTVL(預かり資産)は数百億ドル規模にまで成長しました。

さらに、Solanaは秒間数千件の処理を実現しており、Visaに匹敵するレベルに到達しています。

なふと

「遅い」という批判は、数年前のデータで止まっている可能性があります。技術は確実に進化しています。

量子コンピュータが完成したらブロックチェーンは破壊されるのでは?

これはよく聞く不安ですし、技術的に根拠のある懸念です。量子コンピュータの計算能力が十分に発達すれば、現在の暗号を解読できる可能性は理論上あります。

ただし、現時点の量子コンピュータは暗号を解読するにはまだ遠く及ばない性能です。ブロックチェーンで使われている楕円曲線暗号を破るには、数百万〜数千万量子ビットが必要とされますが、2026年時点で最先端のマシンでも数千量子ビット程度にとどまっています。

NIST(米国立標準技術研究所)は2024年に耐量子暗号の標準規格を策定済み。ブロックチェーン側も、量子コンピュータの脅威に対する備えをすでに始めています。

脅威がゼロとは言いません。しかし「量子コンピュータが完成する頃には対策も完成している」というのが、現時点での最も現実的な見方です。

そもそも、量子コンピュータが暗号を破れるようになったら、困るのはブロックチェーンだけではありません。銀行のオンラインバンキング、クレジットカード、政府の機密通信——現代社会のあらゆる暗号システムが同時に危機を迎えます。ブロックチェーンだけが特別に脆弱なわけではないのです。

規制で潰されるのでは?

規制の強化を「終わりの始まり」と捉える人は多いですが、歴史的に見ると逆です。

インターネットも初期は「無法地帯」と言われていました。個人情報保護法やプラットフォーム規制が整備されたのは、インターネットが社会に定着した後です。規制は「危険だから潰す」ためではなく、「社会に組み込むために整える」ためのプロセスです。

米国ではCLARITY法案の審議が進み、暗号資産の法的区分が明確化に向かっています。日本でも仮想通貨に対する分離課税の導入が検討中です(ただし確定ではありません)。

規制が整備されるということは、裏を返せば「この技術を社会に組み込む価値がある」と国が判断しているということです。

ブロックチェーンじゃなくても、普通のデータベースで十分では?

正直に言うと、これは5つの中で最も鋭い批判です。

実際、社内だけで完結するデータ管理であれば、ブロックチェーンを使う意味はほとんどありません。普通のデータベースのほうが速いし、安いし、管理も楽です。

ブロックチェーンが本領を発揮するのは、「複数の組織が、互いを完全には信頼できない状況で、共通のデータを管理する必要がある」場面です。

  • 国際物流で複数の企業が1つの荷物を追跡するとき
  • 複数の銀行間で送金データを共有するとき
  • 製薬会社と物流会社が偽造品を防止するために履歴を共有するとき

こうした場面では、どこか1社がデータベースを管理すると、その1社を全員が信頼しなければなりません。それが難しいからこそ、ブロックチェーンの「誰も改ざんできない共有台帳」に価値が出てくるのです。

ブロックチェーンは「何にでも使える魔法の技術」ではありません。でも「信頼のないところに信頼を作る技術」としては、代替が存在しないのも事実です。

じゃあ結局、今ブロックチェーンとどう付き合えばいいのか

ここまでの内容を踏まえて、「で、結局どうすればいいの?」を3つの立場から整理します。

投資として見るなら、機関投資家のお金の流れが答えを出している

2024年1月、米国SECがビットコイン現物ETFを承認しました。これは「仮想通貨は怪しい」と言われてきた中で、金融当局が初めて正式に投資商品として認めた瞬間です。

その結果がどうなったか。ブラックロック(世界最大の資産運用会社)が運用するIBITには、2026年3月時点で累計624.7億ドル(約9兆円)の純資金流入がありました。

なふと

「オワコンの技術」に9兆円を突っ込む機関投資家がいるでしょうか。いないと思います。

ただし注意点もあります。ビットコインETFに機関投資家の資金が流入しているからといって、個別のアルトコインやNFTプロジェクトが安全ということにはなりません。投機と投資は別物です。

仮想通貨市場の将来性についてはこちらで詳しく解説しています。

技術として見るなら、学ぶ価値はまだある

「Web3で一攫千金」の時代は終わりました。2021年のように、ホワイトペーパーを書くだけで数億円が集まるような世界はもう来ないでしょう。

しかし、地味なインフラ技術としてのブロックチェーンには、エンジニアリングの需要が残っています。前述のサプライチェーン管理や医療データの分野では、ブロックチェーンを理解しているエンジニアが圧倒的に不足しています。

DeFi(分散型金融)の仕組みを理解しておくことは、将来の金融システムを理解する土台にもなります。

DeFiの基本についてはこちらで解説しています。

一般人は何もしなくていい。でも「知っておく」ことには意味がある

投資する気もないし、エンジニアでもない。そういう人にとって、ブロックチェーンは正直「今すぐ何かする必要がある」技術ではありません。

ただ、銀行の国際送金、不動産登記、保険金の支払い、医療記録——こうしたものの裏側で、ブロックチェーンが使われる日はそう遠くありません。気づかないうちにブロックチェーンの恩恵を受ける時代は、すでに始まりつつあります。

「オワコンだ」と断定してしまうと、次の変化が来たときに気づけなくなります。1995年にインターネットを「オワコン」と切り捨てた人は、Amazon、Google、iPhone——その後のすべてを見逃しました。

よくある質問

ブロックチェーンと仮想通貨の違いは何ですか?

ブロックチェーンは「データを改ざんできない形で記録・共有する技術」で、仮想通貨はその技術を使った応用の1つです。ブロックチェーンの上には仮想通貨以外にも、物流管理や医療データ管理などの仕組みが構築されています。

ブロックチェーンが「オワコン」と言われるのはなぜですか?

NFTバブルの崩壊、FTX破綻、仮想通貨の暴落が立て続けに起きたためです。しかしこれらは「ブロックチェーン技術の失敗」ではなく、投機的ブームの終焉や中央集権的組織の不正が原因です。

ブロックチェーン技術は日本企業でも使われていますか?

はい。日本郵船は船員への給与支払いにブロックチェーンを導入しており、サスメドは治験データ管理で薬事承認を取得しています。日本通運とアクセンチュアは医薬品の偽造防止にも活用中です。

量子コンピュータでブロックチェーンは破壊されますか?

理論上の脅威はありますが、現時点の量子コンピュータは暗号解読に必要な性能に遠く及びません。また、NISTが2024年に耐量子暗号の標準規格を策定済みで、対策も並行して進んでいます。

ブロックチェーンを学ぶ意味はまだありますか?

あります。「一攫千金」の時代は終わりましたが、インフラ技術としての需要は残っています。特にサプライチェーン管理や医療データの分野では、ブロックチェーンを理解しているエンジニアが不足しています。

NFTが暴落してもブロックチェーン自体は大丈夫なのですか?

NFTはブロックチェーンの応用の1つにすぎません。NFT市場が冷え込んでも、ブロックチェーンという技術基盤そのものが消えるわけではありません。物流や医療など、NFTとは無関係の分野での活用は拡大しています。

ブロックチェーンの市場規模はどれくらいですか?

国内市場は矢野経済研究所の予測で2025年度に7,247億円。グローバルでは、RWA(現実資産トークン化)市場だけで2030年に2〜16兆ドルと予測されています。予測機関によって幅がありますが、成長トレンド自体は共通しています。

まとめ

「ブロックチェーンはオワコンか?」という問いに対する答えは、「何を見ているかによって変わる」です。

仮想通貨の投機ブームは確かに終わりました。NFTバブルも弾けました。その意味での「オワコン」は、否定しようがありません。

でも、技術としてのブロックチェーンは終わっていません。むしろ、バズワードとしての役目を終えて、ようやく地に足のついた実用フェーズに入ったところです。

  • NFTバブル崩壊やFTX破綻は事実だが、いずれもブロックチェーン技術そのものの失敗ではない
  • 仮想通貨はブロックチェーンの応用の1つにすぎず、技術基盤は金融以外にも広がっている
  • 日本企業でも物流・医療分野でブロックチェーンの実運用が始まっている
  • 処理速度の課題はL2技術で大幅に改善されている
  • 量子コンピュータの脅威はあるが、対策も同時に進んでいる
  • 規制は「終わり」ではなく「社会に組み込む」ためのプロセス
  • 「見えなくなった」と「消えた」は、まったく別の話

1995年にインターネットを見て「こんなの流行らない」と言った人は、たくさんいたはずです。その人たちの多くは、今スマホでこの記事を読んでいるかもしれません。

なふと

ブロックチェーンがインターネットと同じ道をたどるかは、まだ誰にも分かりません。でも「オワコン」と断定するには、まだ早すぎると僕は思っています。

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