ビットコインには、約4年に一度「半減期」と呼ばれるイベントがあります。そして過去4回の半減期の後には、いずれもビットコインの価格が大きく上昇してきました。
次の半減期は2028年の春頃。では、今回も同じように上がるのか?
結論から言えば、「上がる可能性は高いが、過去と同じパターンで考えるのは危険」です。今回のサイクルには、ETFや機関投資家の参入という過去にはなかった構造的な変化があるからです。
この記事では、半減期の仕組みを初心者向けに解説した上で、過去4回分のデータを完全比較し、「今回は何が違うのか」を検証します。
ビットコインの半減期とは何か
半減期はビットコインの設計に組み込まれた最も重要な仕組みのひとつです。まずはその基本を押さえましょう。
報酬が半分になる仕組みと目的
ビットコインは「マイニング」という計算作業によって新しいコインが発行される仕組みです。マイナー(採掘者)は取引データをブロックチェーンに記録する作業の対価として、新たに発行されるビットコインを「報酬」として受け取ります。
半減期とは、このマイニング報酬が約4年ごとに半分になるイベントのこと。正確には、21万ブロックが生成されるたびに自動的に発動します。
- ビットコインの発行上限は2,100万枚と決まっている
- 一度に発行される量を段階的に減らすことで、希少性を高めていく設計
- 金(ゴールド)の採掘量が年々減っていくのと似た構造
つまり半減期は「バグ」でも「イレギュラー」でもなく、ビットコインの生みの親であるサトシ・ナカモトが最初から設計に組み込んだインフレ防止メカニズムです。
半減期のたびに新規供給が絞られる。需要が変わらなければ、価格には上昇圧力がかかる——これが半減期が注目される最大の理由です。
次の5回目は2028年春頃
直近の4回目の半減期は2024年4月20日に発生しました。マイニング報酬は6.25 BTCから3.125 BTCに半減しています。
次の5回目は、ブロック数が1,050,000に達するタイミングで発生します。現在のブロック生成ペースから逆算すると、2028年3月〜4月頃が最も有力な時期です。
5回目の半減期では、報酬が3.125 BTCから1.5625 BTCにさらに半減します。ビットコイン1枚が仮に1,500万円だとすると、1ブロックあたりの報酬は約2,340万円。マイナーにとっては収益が直接的に半減する、非常にインパクトの大きいイベントです。
なふと「約4年ごと」と言われるけど、正確には「21万ブロックごと」なので、ブロック生成速度によって多少前後します。でもだいたい4年。ここは覚えておくだけで十分です。
過去4回の半減期で何が起きたか
「半減期の後にはビットコインが上がる」とよく言われますが、実際にどのくらい上がったのか。ここでは4回分のデータを並べて検証します。
半減期サイクル完全比較テーブル
| 1回目 | 2回目 | 3回目 | 4回目 | |
|---|---|---|---|---|
| 日付 | 2012年11月 | 2016年7月 | 2020年5月 | 2024年4月 |
| 報酬 | 50→25 BTC | 25→12.5 BTC | 12.5→6.25 BTC | 6.25→3.125 BTC |
| 半減期時の価格 | 約12ドル | 約650ドル | 約8,600ドル | 約64,000ドル |
| サイクル高値 | 約1,100ドル | 約20,000ドル | 約69,000ドル | 約109,000ドル |
| 上昇倍率 | 約93倍 | 約31倍 | 約8倍 | 約1.7倍 |
| 高値到達時期 | 約12ヶ月後 | 約17ヶ月後 | 約18ヶ月後 | 約9ヶ月後 |
このテーブルから分かるのは、過去4回すべてで半減期後に価格が上昇しているという事実です。ただし、上昇の「倍率」は明確に縮小しています。
共通パターンは「半減期後12〜18ヶ月でピーク」
過去3回のサイクルでは、半減期当日に急騰するのではなく、半減期から12〜18ヶ月後にサイクルの高値をつけるパターンが繰り返されてきました。
これは、半減期による供給減少の効果が市場に浸透するまでに時間がかかること、また半減期をきっかけにメディア露出が増え、新規参入者が徐々に増えることが背景にあると考えられています。
ただし4回目のサイクルでは、このパターンに変化が見られました。高値到達が約9ヶ月後と大幅に短縮されており、市場の構造自体が変わりつつあることを示唆しています。
過去のパターンは「参考」にはなるが、そのまま将来に当てはめられるとは限らない。特に4回目のサイクルは、明らかに過去と異なる動きをしています。
なふと「半減期の1年後に売れば儲かる」みたいな話がSNSで流れてくるけど、4回目はそのパターンが崩れてる。鵜呑みにするのは危険だと思います。
上昇率は回を追うごとに縮小している
先ほどの比較テーブルからも明らかですが、半減期後の上昇率は回を追うごとにはっきりと縮小しています。この傾向を掘り下げてみましょう。
100倍→30倍→8倍→2倍。なぜ縮小するのか
1回目の半減期では約93倍、4回目では約1.7倍。上昇率の縮小は数字として明確です。
これには構造的な理由があります。ビットコインの時価総額は2012年には数十億円規模でしたが、2024年には200兆円を超える規模に成長しました。市場が大きくなればなるほど、同じ金額の資金流入でも価格への影響は薄まります。
また、半減期の「サプライズ効果」も薄れています。1回目の半減期は注目度が低く、価格への織り込みが不十分だった。しかし今では、半減期は何年も前から投資家に予測されており、その分だけ事前に価格に織り込まれるようになっています。
半減期だけでは価格は上がらない理由
半減期が価格に与えるのは、あくまで「供給サイド」の変化です。供給が減っても、需要が減れば価格は上がりません。
実際、3回目の半減期(2020年5月)の直後は、すぐに価格が急騰したわけではありません。本格的な上昇が始まったのは2020年後半のことで、コロナ後の世界的な金融緩和(ゼロ金利政策+量的緩和)が追い風になったからです。
つまり、半減期はあくまで価格上昇の「必要条件のひとつ」であり、それだけで十分条件にはならない。マクロ経済環境、規制動向、機関投資家の動向などが同時に揃って、初めて大きな上昇が起こるというのが、過去の実績が示す現実です。
「半減期=自動的に値上がりするイベント」ではない。供給が絞られるのは事実だが、需要サイドが伴わなければ価格は動かない。
今回の半減期サイクルは過去と何が違うか
5回目の半減期を理解する上で最も重要なのは、「過去の延長線上にはない変化」が起きていることです。3つの構造的な違いを見ていきます。
ETFと機関投資家の参入による構造変化
最大の違いは、2024年1月に米国でビットコイン現物ETFが承認されたことです。ブラックロック、フィデリティなど世界的な資産運用会社が参入し、ETF経由で数兆円規模の資金がビットコイン市場に流入しました。
過去のサイクルでは、ビットコイン市場の参加者は主に個人投資家でした。しかし今は、年金基金やヘッジファンドなどの機関投資家が市場の一角を担っています。
機関投資家は個人投資家よりも投資判断が「長期的」かつ「戦略的」である傾向があります。そのため、パニック売りによる暴落は起きにくくなる一方、過去のような「半減期後に個人が殺到して急騰→バブル崩壊」という極端なサイクルは変化する可能性があります。
日本でのETF解禁の見通しについては、こちらの記事で詳しく整理しています。

採掘コストの上昇と採算ライン
半減期はマイナーにとって「収入が半分になる」イベントでもあります。報酬が1.5625 BTCに下がると、電気代や機材コストをまかなえないマイナーが撤退を余儀なくされます。
実際、4回目の半減期後にも一部のマイナーが採算割れで撤退しました。しかし、撤退が進むことで残ったマイナーの競争が緩和され、ネットワークの自動調整機能(ディフィカルティ調整)によって均衡が保たれます。
ここで重要なのは、マイナーの採算ラインがビットコインの「実質的な価格の下限」として機能するという点です。報酬が減るほど、マイナーが利益を出すために必要なビットコイン価格は上がります。この構造が、半減期のたびに「底値」が切り上がる背景になっています。
半減期「前」に最高値を更新した初のサイクル
過去3回のサイクルでは、ビットコインの価格が最高値を更新するのは常に半減期の「後」でした。しかし4回目のサイクルでは、半減期(2024年4月)の約1ヶ月前に約73,000ドルの史上最高値を記録しています。
これはETF承認による期待先行の買いが主因です。半減期の「供給ショック」が起こる前に、ETFという「需要ショック」が価格を押し上げたわけです。
この先例があるため、5回目の半減期でも同様に「半減期の前に相当な価格上昇が起きている可能性」は十分にあります。
「半減期まで待ってから買えばいい」という戦略は、すでに4回目のサイクルで通用しなくなっています。5回目も同様のリスクを認識しておく必要があります。
なふと4回目のサイクルを見ると、半減期が「買いのシグナル」として機能しなくなりつつある。むしろETFの方がインパクトが大きかった。この変化は5回目を考える上で無視できないと思います。
半減期を投資にどう活かすか
ここまでのデータと分析を踏まえて、次の半減期を見据えて投資家はどう動くべきか。考え方の整理をしておきましょう。
「半減期で買え」は正しいのか
SNSや投資系メディアでは「半減期=買い時」という論調が根強くあります。確かに、過去4回すべてで半減期後に価格が上昇した実績はあります。
しかし、4回目のサイクルでは半減期前に最高値をつけたことを忘れてはいけません。半減期を「ピンポイントの購入タイミング」として使おうとすると、すでに上昇した後に買ってしまうリスクがあります。
2026年のビットコイン価格の見通しについては、こちらの記事で複数のシナリオを検証しています。

長期投資家が取るべきスタンス
半減期のサイクルから見えてくるのは、「ビットコインは供給が減り続ける構造を持つ資産」だという事実です。これは長期的には価格を支える要因として機能します。
ではどうすればいいか。結論は「タイミングを狙わず、時間を味方にする」ことです。
- 半減期の前後で一括投資するのではなく、積立投資で購入タイミングを分散させる
- 半減期は「ビットコインの供給構造が健全に機能している確認タイミング」として捉える
- 短期的な価格変動ではなく、2〜4年単位の投資視点で判断する
半減期は「いつ買うか」のシグナルではなく、「なぜビットコインに長期投資する意味があるか」を裏付ける構造的な根拠。この理解ができていれば、短期的なノイズに振り回されずに済みます。
少額からビットコイン投資を始める具体的な方法は、こちらの記事で解説しています。
なふと僕自身は「次の半減期がいつか」は知っているけど、それを投資判断の軸にはしていません。毎月淡々と積み立てて、半減期はチェックポイントくらいの感覚。タイミングを計ろうとするほど失敗するのは、株でもビットコインでも同じだと思っています。
よくある質問
まとめ
ビットコインの半減期は、約4年に一度訪れるビットコイン最大の構造的イベントです。次の5回目は2028年春頃に予定されていますが、過去と同じように考えるだけでは不十分な時代に入っています。
- 半減期とは、約4年ごとにマイニング報酬が半分になる仕組み。ビットコインの希少性を高める設計
- 過去4回すべてで半減期後に価格が上昇したが、上昇率は93倍→31倍→8倍→1.7倍と縮小傾向
- 4回目のサイクルでは半減期「前」に最高値を更新。ETFと機関投資家が市場の構造を変えた
- 半減期は「買い時のシグナル」ではなく、「ビットコインの供給構造を理解するための知識」
- タイミングを計るのではなく、積立投資で時間を味方にするのが合理的なスタンス
なふと半減期は知っておくべき知識だけど、「半減期で儲かる!」みたいなノリで投資するのは危ない。仕組みを理解した上で、自分のペースで淡々と積み立てるのが一番だと僕は思っています。


