Bybit撤退後の選択肢。MEXCは本当に「安全な乗り換え先」なのか

2025年12月、Bybitが日本向けサービスからの撤退を発表しました。

「次はどこを使えばいいのか」——そう検索している人の多くが、たどり着く名前の一つがMEXCです。取扱銘柄は2,000種類以上、現物取引のMaker手数料は0%、先物は最大200倍のレバレッジ。日本語にも完全対応していて、日本人ユーザーも少なくありません。

スペックシートだけ見れば、国内取引所を圧倒しています。

ただし、MEXCは金融庁から2回の警告を受けており、2025年にはアプリがApp StoreとGoogle Playから削除されています。「安全な乗り換え先」かと聞かれたら、正直に言えば安全ではありません。

この記事では、MEXCのメリットとリスクを両面から正直にまとめます。使うかどうかは、最後まで読んでから判断してください。

目次

MEXCのスペックを整理する

  • 設立:2018年(旧名 MXC、通称「抹茶」)
  • 拠点:セーシェル
  • ユーザー数:4,000万人以上、170ヶ国以上で展開
  • 取扱銘柄:現物2,700以上、先物800以上
  • 日本語対応:サイト・アプリ・チャットサポートすべて対応
  • 独自トークン:MXトークン(手数料割引やLaunchpad参加に使用)

銘柄数は国内取引所の50〜100倍。手数料もレバレッジ倍率も桁が違います。Bybit撤退後に日本人ユーザーが流入しているのも、この圧倒的なスペックが理由でしょう。

ただ、スペックが高いことと安全であることは別の話です。ここからは手数料の具体的な比較と、見落としてはいけないリスクの両方を見ていきます。

他の海外取引所と手数料を比較する

MEXCの手数料は、海外取引所の中でも最安クラスに位置しています。

取引所 現物 Maker 現物 Taker 先物 Maker 先物 Taker
MEXC 0% 0.05% 0.01% 0.04%
Bybit(参考) 0.1% 0.1% 0.02% 0.055%
Binance Japan 0.1% 0.1% 取扱なし 取扱なし

現物取引のMaker手数料が0%というのは、指値注文で約定すれば手数料が一切かからないということです。Bybitの0.1%と比べると、頻繁に取引するトレーダーにとっては無視できない差になります。先物もMaker 0.01%と低水準です。

さらにMXトークンを保有すると、取引手数料が最大50%割引されます。ただし、割引の恩恵を最大限受けるには一定量のMXトークンを保有し続ける必要があるため、「手数料を安くするために別のトークンを買って保有する」というコストが発生する点は理解しておくべきです。

レバレッジは最大200倍。国内取引所の上限が2倍であることを考えると、100倍の差があります。ゼロカットシステムを採用しているため、証拠金を超える損失は発生しません。国内の仮想通貨FXでは追証が発生するリスクがあるため、この仕組み自体は海外取引所の優位点です。

なふと

スペックと手数料だけで選ぶなら、MEXCは圧勝です。ただ、取引所を選ぶ基準は手数料だけではありません。次のセクションで、スペックの裏にあるリスクを見ていきます。

MEXCを使うリスクを正直に書く

金融庁に2回警告を受けている

MEXCは日本の金融庁に暗号資産交換業の登録をしていません。2021年5月と2024年11月の2回、「無登録で暗号資産交換業を行う者」として警告を受けています。

この警告はMEXC(事業者側)に対するものであり、利用者が罰せられることはありません。ただし「使っても捕まらない」ことと「何かあったときに守ってもらえる」ことはまったく別です。

金融庁に登録された国内取引所には、顧客資産の分別管理や信託保全の義務があります。MEXCにはそれがありません。取引所が破綻しても、消費者センターや金融ADRに相談しても、日本の法律では救済の対象外です。

「使える」と「守られている」はまったく別の話です。MEXCは使えます。ただし、守られてはいません。

日本円で入出金できない

MEXCに日本円を直接入金することはできません。利用するには、まず国内取引所で仮想通貨を購入し、それをMEXCに送金する必要があります。出金も同じルートの逆順です。

さらに、トラベルルールの導入により、一部の国内取引所からMEXCへの直接送金が制限されています。送金可能な取引所を経由する、あるいは一度メタマスクなどの個人ウォレットを中継する必要が出てくるケースもあり、手間とガス代の両方がかかります。

アプリはもう使えない

2025年2月、金融庁の要請を受けて、MEXCの公式アプリが日本のApp StoreとGoogle Playストアから削除されました。

ブラウザ版は引き続き利用可能です。Androidの場合は公式サイトからAPKファイルを直接ダウンロードする方法もありますが、非公式ルートでのアプリ入手にはセキュリティ上のリスクが伴います。iPhoneユーザーはブラウザ一択です。

Bybitの二の舞になる可能性

Bybitは2025年12月に日本人向けの新規登録を停止し、2026年から段階的にアカウント制限を実施しています。日本の規制強化が一因とされています。

MEXCが同じ道を辿る保証はありませんが、辿らないという保証もありません。金融庁は海外取引所に対する規制を年々強めており、2026年には暗号資産を金融商品取引法の枠組みで扱う法改正も検討されています。

突然の撤退発表で出金ラッシュが起きれば、処理の遅延は避けられません。海外取引所に大きな資産を長期間放置する使い方は、どんなにスペックが魅力的でも、避けるべきです。

MEXCに向いている人・向いていない人

向いている人
向いていない人
  • 国内取引所にない銘柄を取引したい中〜上級者
  • 高レバレッジの先物取引でリスクを取れるトレーダー
  • 金融庁未登録のリスクを理解した上で自己判断できる人
  • 大金を預けず、短期取引のサブ口座として使う人
  • 初めて仮想通貨を買う初心者
  • 日本円で直接売買したい人
  • 取引所の破綻時に資産が保護される前提で使いたい人
  • 長期保有の資産をMEXCに預けたい人
なふと

初心者がいきなりMEXCに口座を開くのはおすすめしません。まずはbitFlyerやGMOコインのような金融庁登録済みの国内取引所で仮想通貨に慣れてから、余裕資金で海外に手を出す順番が安全です。

よくある質問

MEXCは日本から使っても違法?

違法ではありません。金融庁の警告はMEXCという事業者に向けられたものであり、利用者個人への罰則は定められていません。ただし、日本の法律による保護は一切受けられないため、すべて自己責任での利用になります。

出金が止まることはある?

過去に出金遅延の報告はあります。不審なIPからのログインや異常な取引パターンが検知された場合、アカウントが一時凍結されることもあります。取引に必要な分だけ入金し、利益はこまめに国内取引所に戻す運用を強くおすすめします。

MEXCで得た利益の税金はどうなる?

海外取引所で得た利益も日本の所得税の課税対象です。現行制度では雑所得として確定申告が必要で、税率は最大約55%です。2026年度の税制改正で申告分離課税20%への移行が検討されていますが、「海外取引所だから税金がかからない」ということは絶対にありません。

Binance Japanとどちらがいい?

Binance Japanは金融庁に登録された国内取引所です。銘柄数やレバレッジではMEXCに劣りますが、法的な安全性では比較になりません。安全性を最優先にするならBinance Japan、国内で買えない銘柄に短期で触りたいならMEXCという棲み分けです。

MEXCが日本から撤退したらどうなる?

Bybitのケースでは、撤退発表から数ヶ月の猶予期間が設けられました。期間内に出金を完了すれば資産は失われませんが、出金ラッシュによる処理遅延は想定しておくべきです。普段から資産を海外取引所に置きっぱなしにせず、こまめに国内に引き上げておくことが最善の対策です。

まとめ

MEXCは、銘柄数・手数料・レバレッジのすべてで国内取引所を上回るスペックを持っています。Bybit撤退後の受け皿として注目されるのも当然です。

ただし、「安全な乗り換え先」かと聞かれたら、正直に答えます。安全ではありません。

  • 金融庁に2回警告を受けている。法的保護の対象外
  • アプリはApp Store・Google Playから削除済み
  • 信託保全なし。取引所破綻時に資産は保護されない
  • Bybitのように突然の日本撤退リスクが常にある

MEXCを使うこと自体は否定しません。国内では買えない銘柄を触りたい中上級者にとって、選択肢の一つになり得ます。ただし使い方は限定すべきです。「リスクを理解した上で、大金を預けず、短期の取引用として」。出金はこまめに、利益は国内取引所に戻す。Bybitの代わりとして全資産を預けるような使い方だけは、絶対に避けてください。

なふと

MEXCは「サブ口座」としてなら優秀です。メイン口座は国内取引所に置いて、MEXCは国内で買えない銘柄だけを短期で触る場所。この使い分けが、今の規制環境では一番現実的な付き合い方だと思います。

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