近年、メタバースという言葉をよく耳にするようになりました。仮想世界での生活が現実の延長線上となり、メタバース上でのコミュニケーションやビジネスが活発化しています。
そんな中、エンターテイメント領域で注目を集めているメタバースでのライブ配信、通称「メタバースライブ」に注目が集まっています。
なぜメタバースライブがエンタメの覇権を握ると言われているのか、深掘りしていきましょう。
メタバースライブとは?
「メタバース」という言葉は、現実世界を再現した仮想空間を指します。インターネット上に広がる無限の可能性を秘めたメタバースでは、ユーザーは自分自身のアバターを通じて、様々な体験をしたり、コミュニケーションを取ることができます。
メタバースライブは、このメタバース上で行われるライブイベントのことを指します。
また、実際のライブと同じようにステージの雰囲気を感じたり、アーティストや他の視聴者と交流したりすることもできます。
リアルライブとは異なり、地域や時間帯の制約を受けず、より多くの人々が参加できるのが特徴です。
メタバースライブの5つの魅力
メタバースライブはその特性から、従来のライブエンターテイメントとは一線を画した魅力を数多く持っています。
ここでは、その中でも特に注目すべき5つの魅力を詳しく解説します。
ユーザー体験が爆発的に向上する
メタバースライブでは、ユーザーは物理的な制約から完全に解放されています。そのため、自分自身のアバターを操作し、ライブ会場を自由に自在に動くことができます。
ステージの裏側、側面はもちろん、空を飛んで上からアーティストのパフォーマンスを見ることも簡単にできます。メタバースでは、従来のライブ体験では有り得なかった多角的な視点からライブを楽しむことができます。
世界中から色々なデバイスで参加できる
次に、メタバースライブの大きな魅力として、世界中の人々が様々なデバイスを通じて参加できる点が挙げられます。スマートフォン、パソコン、VRヘッドセットなど、ユーザーは自分が利用しているデバイスからメタバースに接続し、いつでもライブを楽しむことができます。
自宅にいながらにして、世界中の人々と一緒にライブを楽しむことが可能になります。
運営コストが削減できる
従来のライブイベントは、会場費用、設備の準備、セキュリティ、スタッフの配置など多くのコストがかかります。しかし、メタバースライブではこれらの物理的な制約を一切気にせず、仮想空間でイベントを開催できます。
これにより、運営コストを大幅に削減しながら、より多くの観客に参加してもらうことができます。
クリエイティブで自由度の高い演出ができる
メタバースライブは、物理的な制約から解放された仮想空間で行われるため、クリエイティブな演出が可能です。アーティストは自分たちの音楽やパフォーマンスを、従来のライブでは表現できなかった新たな形で表現することができます。
新たな収益源も開拓できるかも?
メタバースライブは、従来のライブのようなチケット販売や広告だけでなく、新たなビジネスチャンスを生み出します。
- アーティストの限定アバター
- バーチャルアイテム
- エモート
特にこれらのようなデジタル商品の販売には、無限の可能性があります。
他にも、特定のエリアへのアクセス権のようなものも考えられますね。
メタバースライブの課題とその対策
一方で、メタバースライブが広く普及するためにはまだまだ解決すべき課題が山積みです。
詳しく見ていきましょう。
技術的な障壁が高すぎる
メタバースライブが追求するのは、高度な没入感とリアルタイム性です。しかし、これらを実現するためには高性能なデバイスや高速なインターネット接続が必要となります。
また、大量のユーザーが同時に接続することで生じるサーバーへの負荷も大きな問題となっています。これらの課題を解決するためには、技術の進歩とインフラの整備が必要です。
ユーザー側のデバイスが多様すぎる
さらに、ユーザーが使用するデバイスの多様性も課題の一つです。PC、スマートフォン、VRデバイスなど、様々なデバイスからメタバースライブに参加することができますが、その全てのデバイスで最適な体験を提供することは難しいです。
デバイスごとの最適化には、それなりに時間とコストがかかります。
初期投資が大きすぎる
メタバースライブは、VRデバイスや高性能なPCなど、初期投資が大きいという問題も抱えています。これは視聴者側だけでなく、開催側にも大きな負担となります。
これを解決するためには、低スペックのデバイスでも視聴できる配信方法の開発や、クラウドベースのレンダリング技術などの導入が求められます。
メタバースライブの実際の事例5選
メタバースライブの可能性は、既に様々な事例を通じて証明されています。
最後に、実際に過去に開催された、あるいは開催予定のメタバースライブの事例5選を紹介していきます。
MusicVket
MusicVketは、2020年に誕生し、その規模はすでに世界中から15万人以上が参加する総合音楽イベントとなっています。MusicVketは、音楽クリエイターによる楽曲の展示即売会がメインコンテンツです。
ただもちろん、メタバース上の特設会場でアーティストによる音楽LIVEも行われていて、2023年8月には5回目の開催となるMusicVket5も予定されています。
コロナ禍にリアルライブが軒並み中止になったことがきっかけで始まったらしいですね。
SANRIO Virtual Festival
SANRIO Virtual Festivalは、世界最大級の音楽フェスとして2021年12月に開催されました。バーチャルとリアルが融合した新感覚のメタバースイベントで、バーチャルサンリオピューロランド内の地下5階の巨大空間で行われました。
アーティストやバーチャルアーティスト、そしてサンリオキャラクターが出演し、参加者はスマホやPCなどのデバイスを通じて気軽に参加できました。
本イベントオリジナルアバターでサンリオキャラクターになりきって、バーチャル空間にダイブする体験は、ファンにはたまらないでしょう。
Metaverse Music Festival
Metaverse Music Festivalも、世界最大級のメタバース音楽フェスです。2022年にメタバースプラットフォームであるDecentralandの主催で開催され、4日間にわたり15のステージで100以上のアーティストが出演しました。
その豪華なラインナップには、オジー・オズボーンやDillon Francis、さらには日本から新しい学校のリーダーズなど、様々なジャンルのアーティストが名を連ねました。
入場料が無料というのも魅力的な点でしたね。
ラブライブ!スクフェスシリーズ感謝祭2023
2023年7月8日と9日には、あの超人気コンテンツである「ラブライブ!」のスクフェスシリーズがメタバースライブを開催予定です。参加者はドローンカメラを自由に操作し、独自の視点からライブを楽しむことができます。
さらに、サブイベントとして、メタバースライブの無料体験会やキャストトークショーのテーマの事前投票、たこ焼き集めゲームなども用意されており、視聴者はライブだけでなく、様々なエンターテイメントを一度に楽しむことができます。
プロトライブ#2〜ヤマトファンタジア〜(ホロライブプロダクション)
「プロトライブ#2〜ヤマトファンタジア〜」は、大手Vtuber事務所ホロライブが開発中のメタバース、ホロアース内で開催される和風ライブイベントです。
出演者は「白上フブキ」「百鬼あやめ」「大神ミオ」の3名に加え、「さくらみこ」も登場します。公演は2023年7月15日から開始し、一部はYouTube Liveでも無料配信されます。さらに、ライブ当日以外でも遊べるイベントエリアが7月8日から7月21日の期間中オープンされます。
このライブは、ホロアースに新たに追加される機能のテストや、「ホロライブ・オルタナティブ」で進行中のメディアミックス媒体との連動企画などを実施し、今後のホロアース内での次世代のバーチャルイベント体験のロールモデルを目指しています。
開催記念グッズも販売しており、ランダムアクリルキーホルダーには、特典でホロアースで使えるチャットスタンプと交換できるシリアルコード用紙が同封されています。
まとめ
かつてリアルライブが当たり前だった時代から、コロナ渦を経て、今はYoutubeでのライブ配信が当たり前の時代となりました。
そして技術的な障壁などがクリアされて世にメタバースが普及した時、もはやメタバースでライブを行わない理由がないって時代が必ず来ます。
その時代を見越して、僕たちは早いうちからこの領域に触れ、準備をしていくことが必要ですね。